ラクジュ本橋さんと松尾設計室松尾和也さんとの対談を見て


以前からラクジュの本橋さんの動画は拝見していまして、松尾設計室の松尾さんの本も読んでいました。そして、先日Youtubeでお二人の対談動画がアップされたのでそれについて思うところを書き綴ってみたいと思います。

私は断熱についてはある程度の知識はあり、自分の家もUa値0.3なので高気密高断熱住宅と言えます。その実際に住んでみた感想を交えながら書いていきたいと思います。

以下が実際の動画になります。

自然・健康・エコハウスのワナ

松尾さんのお話は「自然素材で作られた住宅が本当にエコなのか?違いますよね。CO2の排出を排出しない家がエコですよね」という内容です。

エコには2つののエコがあって、
エコノミー(経済的)
エコロジー(環境に優しい)
があります。自然素材で作ればエコになるという思想で家つくりをされている建築会社はあると思いますが、それへのアンチメッセージです。

エコハウスというと、自然素材を使っていたり、化学物質を極力使わなかったりという場合がありますが、松尾さんの場合は明確に異なり、CO2を排出しないということです。

私の考えるエコはエコノミーのエコつまり経済性です。多くの方がCO2排出のことよりもお金のことを気にするのではないでしょうか。但し、CO2排出が少なければ電気代は少ないですし、松尾さんの言われるエコ(=CO2排出少ない)と同じ意味とも言えるでしょう。

ただし、私の住む一条工務店の家では、自然素材感は「ない」ので、過去に行った自然素材満載の家の宿泊体験で感じた木の感じはとてもいいなと思っています。エコうんぬんではなく、質感の問題だと思います。木の質感は非常に良かったです(但し、省令準耐火が取れない家だったと思います)

断熱の素朴な疑問、終点

消費者にとって一番重要なのはコスパという松尾さんの結論です。そして、そのコスパがいいのはグラスウールかロックウールというお話でした。

一方、グラスウール、ロックウールは施工が悪いと性能が出ないため、施工手間がかかるというお話。そこで現場発泡ウレタンなどの断熱材は施工手間が少ないので近年非常に増えてきているということ。他には現場発泡ウレタンでも、施工方法を守らない場合があるという点も指摘されています。

私(=消費者)としては、結論的には「性能がしっかりと出てコスパが良ければ何でもいい」でしょう。その為には、一定レベルの施工に関するポイントは知っておかなければならないという結論になってしまいます。
消費者がそこまでを判断し、建築会社を選ぶことは非現実的と思います。難しい問題ですね。

断熱性能の終点

断熱性能の終点のお話で、松尾さんは「何年住むかによって決まる」ということでした。つまり、かけたコストを冷暖房費でどれだけ回収できるかという話です。

私は、一部同意しますが、住宅の寿命を100年と考えれば冷暖房費用が年間5万程度に収まる(東京などの温暖地)Ua値0.3近辺と思います。何年住むかという考え方は合理的と言えばそうですが、不動産投資的価値を考慮に入れられていないと思います。松尾さんは現在の木造住宅が20年後にはほぼ価値が無くなることをご存知の上だからだと思います。
一方ラクジュの本橋さんは、住宅は90年持ち、不動産価値もそれに応じて維持されるべきと以前から話されています。私も同じ思いがあります。
木造住宅が建築後20年で価値が無くなる現状は歪んでいて、適正に価値が評価される時代が来てほしいと思います。
価値が適切に評価されるという前提のもとでは、寿命が90年100年とすれば0.3前後のUa値が必要になると感じます(私の家がUa値0.3であるという先入観が入っていることをご理解下さい)。これ以上高くしても光熱費削減はあまりできません。それ以上に、冬場の給湯費用が高額です、そちらを改善する手法が出てきても良いと思っています。
断熱性を強化した上で、今後太陽光発電、蓄電池の発達、普及が図れればゼロエネルギー住宅は夢ではないでしょう。

私の考える断熱の終点(結論)はUa値0.3前後(先入観あり)だと思います。

換気とレンジフード

まずは換気について。

松尾さんは
「1種換気は光熱費削減に効果があるが、メンテナンスコストの心配がある」ということをおっしゃっています。そして、「施工とメンテナンスをしっかりやらないのなら3種換気が良い」というお考えです。

私の考えを言う前に前提として、1種のダクト式の一条工務店に住んでいることを前提とします。その施主の考えとしてです。
「3種の弊害である、快適性の阻害は、エアコンの吹き出し口と換気吸気口を近づけることで一部緩和できます。しかし給気口すべてにエアコンをつけることが出来ないのでそこはマイナスです。また、ダクト式でない場合換気が不十分になる可能性もあるのでマイナス点は確かに多い。一方1種のダクト式は松尾さんのおっしゃる通りでメンテナンスコストがかかります。一条工務店のロスガードという換気装置も、故障時にどれくらいのメンテナンスコストがかかるのかが不安要素です。但し、快適であることは以前住んでいた賃貸マンションの3種換気のことを考えても明らかです。コストだけで考えると3種がベターではないかと考えます。一方、快適性、換気能力まで含めると1種のダクト式が良く思えてきます。

これは考え方なのでどちらを取るのか、それぞれの長所短所を考え決める事だと思います。
大前提は、1種を入れても断熱気密性能がダメであれば意味はないことです。多くの断熱気密に力を入れていないメーカーも高級オプションとして1種ダクト式を設定していますが、片手落ちで宝の持ち腐れです。

次にレンジフードについて。

松尾さんは①同時吸排気型と②差圧給気口のどちらかをつけると述べられています。私は②の差圧給気口が安価で良いと思います。差圧給気口を付ければエネルギーロスも比較的少なくなります。
特に、最近多いオール電化のIHコンロの場合は空気が汚れず、レンジフードを回すことが非常に少ないので高価な同時吸排気型は高コスト過ぎるのと、メンテ費用も高すぎるからです。レンジフードは常時使用するわけではないので必要に応じて適宜使うことも必要かと思います。

空調・エアコンの疑問

この動画の中でもある、Ua値0.3という前提で私も書いていきます。

松尾さんは、夏場は「梅雨はドライ・除湿」「「暑くなったら冷房」を24時間とされています。理由は、カビやダニを室内で発生させないため、ということです。全く同意します。付け加えて、最近のエアコンではドライ運転では冷えすぎると勝手にエアコンが止まるサーモオフ機能が働くので再熱除湿機能付きのエアコンでなければ湿度の低下が出来ません。エアコン選びの際には再熱除湿機能付きのエアコンを選ぶ必要があります。24時間運転は当然で、冷房運転は電気代も非常に安価です(昨年9月実績25円/kwhで約3,566円)。
次は、冬場についてです。松尾さんは太平洋側では昼間はエアコンを切ったほうが良いと言われています。私はそれには反対です。理由はエアコンには温度センサーが付いていて勝手に切れるからです。正確にはファンは回っていますが電気代はほぼかかりません。
私は、一条工務店に住んでいて床暖房で普段暖房していますが、今年の1月だけエアコンで暖房する実験を行いました。温度・湿度・使用電力量を可視化して確認しましたが冬の晴れた日にはエアコンは勝手に切れてファンのみになります。いちいち天気を気にしてエアコンのオンオフをすることを考えると、つけっぱなしの方が精神衛生上良いと思っています。確かに、ファンの電気代がかかりますが1か月で数十円ですし、気にしない方がいいかと思います。気にするコストの方がはるかに高いと考えます。

全館空調について
全館空調については、松尾さんのおっしゃる通りだと思います。故障時のコストを考えると一般的には導入は難しいと思います。
では、一条工務店の我が家はどうかと言えば、冬は床暖、夏は吹き抜けのエアコン1台で冷房しています。問題は床暖の方ですね。壊れてみないと分からないですし、壊れ方にもよりますが、機器自体がエアコンの派生形なので置き換えコストは高くないだろうと予想しています。但し、万が一のことを考え、暖房用エアコンの設置予定場所にはエアコン設置用の穴は開けています。万が一故障交換が高額だった時のための保険です。床暖の方がエアコンと比べかなり快適なのでかなり高価な場合を除き床暖をやめる選択肢はないと考えています。コストより快適性というのが私の考えです。

オーバーヒートについて

松尾さんのお話しで「窓を開けましょう」「日射取得熱を捨てるのはもったいない」というお話がありました。その上で、蓄熱材のことにも触れてられました。

私の一条工務店の家に住んでの感想ですが、そもそも一条工務店の窓は日射取得率が高くないと思われます。半分以下の熱取得だっとと記憶しています。そのため、外気温が高くない限りは26℃までは上がらないです。高くても24℃強ですね。その為窓を開ける必要は感じません。日射取得率を低くしているのは、庇(ひさし)が無いために夏の日射を取得しすぎてしまうことを防ぐためなのだと思います。一条工務店の家自体は、いわゆるパッシブハウス的思想ではないということですね。力技(断熱・気密・太陽光発電)で快適にするというイメージです。
なんだ、パッシブハウスではないのかと思われるかもしれませんが、ローコストで快適にするということに変わりはなく、思想とビジネスモデルの問題だと思います。ビジネスモデル上大量の住宅を供給するためには、緻密な設計が要求される家つくりは困難で、力業での快適性作りが最適解ということでしょう。

窓を開ける事について
春、秋にもオーバーヒートは発生します、そのようなときには我が家ではエアコンで冷やしています。太陽光で発電しているので費用は掛かっていません(正確には売電額が下がりますが)。窓の開け閉めをしない生活により、網戸が不要であることと、窓の耐久性が上がるという利点があります。遠い将来、窓の交換が必要な時期はあるでしょうが、その時期を後ろに伸ばすことができるでしょう。

遮熱蓄熱について
動画でおっしゃられている通りですね。遮熱をアピールする会社は顧客をダマしている(意識なくかもしれませんが)と言えます。知識不足なのでやめた方がいい会社ですね。
蓄熱について
私は、好奇心からですがDIYで比熱(熱を蓄える容量)が大きい水を使った蓄熱材を作ろうと思いましたが、実際に住んでみると非効率であることが分かったため行っていません。息子が大きくなったら自由研究でやらせてみようかと思っていますが、実用的ではないですね。
蓄熱も費用対効果は高くないと思います。松尾さんのおっしゃられる通りだと思います。

なぜ業界が断熱気密に抵抗?

松尾さんのお話の要点は
①「断熱基準義務化」先送りは出来レースで誰が主導したかは分からない
②一条工務店の断熱性能が高すぎて、他のハウスメーカーが追い付く努力の動機付けが出来ず、あきらめている

①は真実はどこにあるのでしょうね。消費者にとっては、政府が義務化する規制で「消費者余剰(=利益)」の増加が見込めるはずです。逆に「生産者余剰」が減るので、それを嫌った人物もしくは団体があるのは事実ですね。消費税増税との絡みで、建築価格の高騰を避けたい政府の意図もあるかもしれません。

②のお話は非常に残念ですね。温熱環境(=省エネ性能)は住宅の最も基本的な部分です。それを向上させるのをやめ、無知な消費者に低い性能の住宅を販売するのは倫理上正しいことではないはずです。このままでは、ハウスメーカーは一条工務店の一人勝ちが続きますね。

消費者は、「より良い家つくり」に勉強が必要である事が痛感されます。


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